Daily Life *K 【21】
Blanket Blind
「よーう。お待たせエイト!」
「遅刻にも程がある!何十分待ったと思って――……うわっ!」
「ハハッ!お前、ビックリしすぎ。」
「いきなり視界を何かで覆われたら驚くわ阿呆っ!――で。これは、何だ?」
「サザンのバザーの掘り出し物。」
「……また値段に釣られて買った口か。今度は幾らしたんだ?」
「何と、400ぽっきり!凄いだろ?初めは800だったんだけど、何か店員が俺に一目惚れしたみたいでさ。まけてくれた。」
得意げに語るククール。対し、エイトは冷めた目でそれを眺めている。
「……。その見返りは何だ?」
「キス一回。」
「――……。」
落ちる沈黙。ククールが引きつった笑みを浮かべる。
「はは……ジョ、ジョークだよ、ジョーク!だから、そんなふうに怒るな睨むな蔑むな。」
「……別に、怒ってなんか無い。呆れただけだ、阿呆。」
「嘘付け。声が怒ってる。」
「怒ってないって言ってるだろ。」
ツンとそっぽを向くエイトを見て、ククールは唐突に声を上げる。
「――あ。」
「……何だよ。」
「もしかして、お前――妬いてくれてる?」
「……。」
「ははっ!真っ赤になった。図星か?」
「う、うるさいな!誰がお前みたいな奴に嫉妬するか!」
「へぇ~?――顔。赤いまんまだけど?」
「っ……!阿呆っ!」
「あはははは!もーお前のそういうとこ好き!」
「!?ちょ、待て、離せ、このっ……抱き締めてくるな――!」
「あはははは!素直になれよエイト!」
「素直も何も……い、いいから離せ阿呆!」
素直じゃない奴。
でも、そういうところが好きだ。
全部、丸ごと。
「好きって言ってくれたら、放してやる。」
「だ、だれが言うか阿呆!」
「へぇ?つーことは、エイトはこのまま俺に抱き締められてる方がいいのか。」
「!そ、そんなわけ――……ない、……ことも……。」
「ん? いま何か言ったか、エイト?」
「――っ。言ってない!全然思ってない!――想ってなんか、やるもんか!」
「……?」
それは瀑布のような想い。
大きく包んで、逃さない。