Dear Dragon
4.しっぽのおにーさん!
えっと……。
あ、エイトです。
聖堂騎士のおにぃさんに指輪を貰ったのですが、ゼシカちゃんが「返したほうがいい!」と言うので、返しに行きました。
マイエラ、というお家に住んでいるらしいので偉い人なのかと思ったら、違うようです。そこは、おにぃさんのお家でもないそうです。
”修道院”――というのが本当の名前なのだと、院の青い服を着た人が教えてくれました。
難しい顔をしていて、かなり怖い人みたいなのですが、私には優しかったのです。
お名前は、ええと……きしだんちょーさん、と言ってました。この人は、偉い人っぽかったです。案内と説明を聞いた後、おれーの挨拶をして部屋を後にしました。
廊下を歩いていると、あの銀のしっぽのおにぃさんに会いましたので、指輪を返そうとしたら、おじいさんの様子を見てきてくれと頼まれました。
正面からでは会いに行けないそうなので、”裏道”を回っていくことになったのですが、ゼシカちゃんとヤンちゃんが「自分で見にいけばいいのに」とか「アッシたちはあいつの下僕じゃねーでやす」と言うので、私が一人で行きますと言ったところ、二人とも首を横に振って一緒に来てくれました。
私ひとりでもだいじょーぶですよ?と言ったのですが、二人はやっぱり首を横に振るだけでした。
”裏道”、は……あちこちがボロボロで、空気が淀んでいて、それから……骨がたくさんあって、ちょっと哀しくなりました。でも私は子供じゃないので泣きません。へーしちょうですから。
裏道を抜けたら院の奥にあった建物の裏手でした。そして、おじーさんに会いに行ったのですが……そこからがまた大変でした。
まず、笑う悪い道化師さんと間違われて、牢屋に連れて行かれました。青の服の団長さんが更に怖い顔をして何か言ってきます。
違う、といってもちょっと困った顔をするだけで、ダメでした。
ここから先は沢山、悲しいことがあって、あまり覚えていません。気づいたら、銀のしっぽのおにぃさんがお友達になってくれましたので、ちょっと嬉しかったです。
あ、でも、”友達”じゃなくて”仲間”というらしいです。どう違うのか、今夜寝る前に訊いてみたいと思います。
良い人が増えるのは、嬉しいです。
でも、ゼシカちゃんが不機嫌そうでした。しっぽのおにぃさんが嫌いなのでしょうか?
あ、しっぽのおにぃさんが呼んでいます。
ご飯の時間です。
なので、今日はこれまで。では、また。
――某所、夕食前にて。
エイト。