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Nightmare×Knight

[1] 始まりはNightmare 4

獣の鎖を切ったのは、こちらから。 だからこれは……自業自得なのかも知れない。



「んっ……っく、は……んぅっ!」
室内に響く、粘着質の音と熱の籠もった声。それが自分の上げる嬌声だということさえ、最早エイトは考えることが出来ない。
ククールの生暖かい舌がエイト自身に絡み、それが蠢く度に思考が飛んだ。
何回もそうして弄られていく内にエイトは抵抗する気力を奪われ、いまはただ声を上げることしか出来なくなっている。
「あ、ァあ――……あ、っ……ひっ、イ、ヤ……っぁ……ああ!」
喉を大きく仰け反らせて達せば、圧し掛かっていた相手が笑う。
「クッ……はは。お前、もうこれで何回達った?」
顔を上げてククールが愉快げに笑う。
「ああ、でもまだ全然足りてないって顔してるな。」
「う……ァ、ア……っ」
エイトは答えない。涙を流しながら放心したように天井を見つめている。
焦点の定まらない瞳。ククールの言葉が届いているのかどうかも解らない。
そんなエイトを見ながら、ククールはエイトが放ったものを指に絡めると、最奥に突き入れた。
「イ、ッ……ひ、あぁっ!?」
大きく弓なりに仰け反るエイト。
「痛、い……っ! いやっ、だ、あっ――ァ、ああ……っ!」
「はっ。力入れてるからだよ。そう硬くなんな――余計辛くなるぜ?」
くつくつと低く笑いながらククールが内部で指を動かすと、その度にエイトが身を引き攣らせて啼く。
「なぁ、エイト。お前、いま自分がどんな表情してるか知ってるか?」
「ん、あ……痛、ア、あぁ……や、だ……ぁっ」
ぽたぽたと壊れたように涙を流すエイトに、ククールは上体を伸ばして口付けを落とす。
「凄いエロい顔、してるんだぜ。聞いてんのか? ……くくっ。分かんねぇよな。ほとんど正気じゃねえみたいだし。」
「ふっ……ア、――んっ」
ククールがうっとりとした表情でそれを眺めつつ奥から指を抜くと、その感触にエイトが身震いした。
「ったく。これじゃ、どっちが飢えた獣なんだか分かりゃしないな。」
その足を高く持ち上げ、泣いている相手を見下ろすククールの目は、劣情で妖しく潤んでいる。
ぎ、とエイトの両腕を戒めているベルトが擦れた音を立てた。
「そのまま放心してろ。……力、抜いとけよ?」
「な、に――……ヒッ!? いっ、アァ……っあぁっ!」
ククールが叩きつけるように己の腰を進め、一気にエイトの身体を貫いた。
肉が引き裂かれるような痛みがエイトを襲う。呆然としていた意識が引き戻され、エイトが再び泣き始める。
「いぁ、あァっ、ひっ……いた、ぁっ……!」
エイトがいやいやと首を振り、泣きじゃくるがククールは構わずに強引に身体を押し進め、その内部、更に奥に自身を埋め込んでいく。己の全部を、深く――奥まで満たし、侵食するように。
「うっ……っふぁ、っ……っひ……、い、たぃ……っ」
組み敷かれ、体の奥を貫かれ、エイトは子供のような嗚咽を漏らす。
「力むなって言っただろ。――仕方ねえな。動くなよ?」
不意にククールはニヤリと笑うと、深く埋め込んだままの体勢からエイトの腰を掴んで揺すりはじめた。
「あっ……ア!?」
奥のある一か所を突かれた瞬間、痛みとは別の感覚が沸き上がる。こうした行為にはほとんど知識のないエイトは、すっかりパニックになった。
「な、ァ、っうぁっ……やっ、ああっ……っ!?」
強すぎる快楽から逃れようと必死に身を捩るが、両手は拘束され、腰も掴まれ、どうにもできない。
「やっ、め……っ! あ、ァっ!? あぁ、ぁ、……あぁッ!」
ガクガクと身体を揺すられ、嬌声をあげてエイトが啼く。声からは感情が抜け落ち、ただただ哀しい悲鳴にしか聞こえない。
ククールの行為が止まることは無く、それどころか舌を舐めずり、獣のような笑みさえ浮かべてエイトを見下ろす。
「その声、その表情……すっげぇゾクゾクする――もっと、啼けよ。」
エイトの様子をうっとりと眺めながら、激しく腰を動かし始める。もう双方とも正気を保てる状態では無くなっていたが、止める者は誰も居ない。

運の悪いことに、今の時期は特に催し物も無いせいで客が少なく、空き室が多かった。それでは宿側の体裁が悪いらしく、安くするから一人一部屋で空き室を埋めて下さいと頼まれて部屋を分けたのだが――結局それが、拗れた関係を悪化させる事態になった。

元々、エイトとククールは同室になることが多かった。
エイトはククールの素行を見張る為に、ククールはエイトにちょっかいを出してからかう為に。
馬鹿みたいな部屋割。
こうなった今では笑えやしない。
空き室に囲まれた檻の中で、狂った饗宴は一晩中続いた。


喰らってその心が解るなら良いのに、と。 身体に爪を、心に牙を突き立てながら、 ただひたすら貪った。